『実践版 三国志』
著者 鈴木 博毅さん
あらすじ(内容)
三国志 (Wikipedia)と言うと、結構読まれた方おられると思います。
私も、吉川英治(Wikipedia)さんや北方謙三(Wikipedia)さんの三国志は、何回も読みました。
今回の『実践版 三国志』は物語ではなく、ビジネス本として書かれています。
ビジネス本?って思う人もいるとは思いますが、三国志の時代に起こった人間関係や時代の変化は、現代にも通じるものが有ると思います。
2021年AIの発達で社会の形が、すごい速さで変化しているこの時代に、三国志を読み解くと見えてくるモノがあるのではないでしょうか。
スポットがあたっている人物は?
- 曹操孟徳(Wikipedia)
- 劉備玄徳(Wikipedia)
- 孫権仲謀(Wikipedia)
- 諸葛孔明(Wikipedia)
- 司馬懿仲達(Wikipedia)
最高の経営者 (曹操)
三国志という物語では、いつも悪者になる曹操。でも、実は現代の経営者が実践している効率化や人材の扱い方を1800年前の三国時代に実践していたのです。
具体的に例をあげると
・屯田制(Wikipedia)
略奪が当たり前の時代に、護衛する代わりに、田畑を民衆に耕させ作物を育て兵糧の不安を少なくした。
・人材登用の変革
家柄が重要だった三国時代に、家柄や敵味方などを気にせず優秀な人を集めた。
上記を見ると、「当たり前」の枠を外して考えている事が窺えます。
今となっては当たり前の事でも、三国時代には異例中の異例です。
優良企業の経営者 (劉備)
曹操とは反対に、三国志では、主人公として扱われる事が多い劉備ですが、今風に表すと社員との繋がりをしっかり作り信用して任せられる状況を作り上げる、度量の大きい経営者っていう感じです。
劉備とくれば必ず上がるのが、人望力です。配下にも劉備に仕えたい!という配下が多く、特に関羽、張飛、趙雲との繋がりは、何をしても揺るがない程、強い繋がりになっています。
年上キラー (孫権)
三国志の登場人物では一番年少の孫権。父や兄の代から仕えている配下には自身より年上の方が多い中、クーデターなど起こされずに、呉の国を守っていた。
今の時代も、代替わりにはいろいろ厄介事が出てきたりするものですが、孫権は年長者を上手く扱い政権運営をやってのけました。
軍師と言えば(諸葛孔明)
軍師と言えば、必ず名前が挙がってくる諸葛孔明。
諸葛孔明と言えば、三顧の礼や天下三分の計などが有名だが、諸葛孔明が劉備の配下になってからは、すごい速さで領地を獲得していっている。
影の天才軍師(司馬懿)
軍師と言えば、諸葛孔明の名前が一番に出るが、実際には諸葛孔明は司馬懿に連戦連敗しています。
政治は諸葛孔明かもしれないが、軍略は司馬懿の方が優れているのかもしれないですね。
また、司馬懿と言うと魏の国を裏切り、建国の足がかりを作り、息子の代で建国を実現して腹黒いというイメージもあります。
現代との繋がりは?
キーワードは
- 逃げる
- 飛び込む
- 対応
- 欲求
- 戦場
逃げる
『逃げる』この言葉は、一見すると、ダメじゃん!!ってなるのですが
三国志の中で『逃げる』という事が出来た人物だけ、飛躍出来ています。
「当たり前」と言ったらそうですが、自らに危険を持ってくる環境や人物を
サラっと切り捨てています(逃げる)。
現代では、家族やローン等があり、過酷な状況から逃げる事が出来ない人が大勢います。また、ブラック企業などの社員を奴隷の様に扱う会社に居ても、未来が無い事は明らかですが、それでもその場所に居続けてしまう人が居る。
私は、『逃げる』のを勧めているわけではなく、まず自身の状況や環境を把握し
自分自身、
愉しく生活できているか?
今後はどうなりそうか?
などを分析し、現状や今後があまり良くないのであれば、逃げ道を選択肢として作っておくのも一つの、道だと思います。
いざという時のために準備をしておくだけでも、大きな違いとなります。
飛び込む
『ハイリスク ハイリターン』と言う、言葉があるように、飛び込まないと飛躍も出来ないと思います。
有名な赤壁の戦い(Wikipedia)がありますが、曹操軍VS劉備、孫権同盟、圧倒的な戦力差がありながら、戦う事を選択し、勝利を勝ち取る。
これは、無謀に飛び込むのではなく、冷静に状況を分析して、相手の強みや弱み、自身の強みや弱みを見比べて、勝機がありそうな場合、飛び込む事を選択する。
現代では自身で事業を起こしたり、シェアが無い部分に、自社の強みを持って飛び込み、シェアを奪うと言った感じです。
逃げろっと言ったり、飛び込めと言ったり、どっちや!って、なるかもしれませんが、どちらも大事ですし何より、状況分析の精度が大事なのです。
対応
三国時代の様に、現代は戦っているのです。企業同士のシェア争いや個人の人間関係まで、大なり小なり、常に争いの中に身を置いているのです。
企業なら、攻める時なのか?守る時なのか?
その状況で経営者の考え方も変えて行かないと、攻める時に一社だけ守りに入って、置いて行かれ淘汰されてしまう事でしょう。
過去の成功体験を捨てて、状況に応じて変化を受け入れるのです。
ひと昔前の駅員さんは切符を、いかに早く切れるかを争っていたそうです。
ですが現代では、機械が圧倒的なスピードで切ってしまいます。またICカード技術の広がりで切符すら無くなっていっています。
この時代に、切符が早く切れる駅員さんが居ても意味が無いですよね。
例えば、親切に道案内や説明の方が、現代では価値が出るのではないでしょうか。
仮に、切符切りを生かすのであれば、博物館など過去を探索するような場所であれば、切符切りも生かせると思います。
なんにせよ、
意味づけや行動が過去とは違うのです。
欲求
人に認められると言う事は、人間が心から欲している欲求の一つです。
曹操の家柄や宗教などを気にせず登用したり、孫権の部下の前で武功をあげた武将を褒める、と言うのはものすごい効果的だったのではないでしょうか?
現在の企業でも、実力主義での昇格や成果があれば臨時ボーナスなどやっている企業がありますが、単純に褒めるだけでも成果は変わっていくと思います。
家庭内でも、子どもは褒めて伸ばすと言われている通り、怒られて育った子どもより褒められて育った子供の方が、自己肯定感が高く、夢などに挑戦する傾向があるそうです。
どこの企業かは忘れましたが、世の中には「上司が部下を怒るとその上司が叱られる。」そんな会社も存在するのです。
戦場
戦いに勝つには、
どこで戦い?
どう戦うか?
どのタイミングで攻め守るか?が重要だと思います。
三国志で有名な戦い、『官渡の戦い(Wikipedia)』があります。袁紹VS曹操で、袁紹と曹操の兵力差は2倍程あり
最初は、袁紹優勢で始まりましたが、袁紹の優柔不断な性格が悪い方に働き、絶好のタイミングを逃し、戦略でも自分のプライドを優先してしまった結果、敗戦に終わりました。
一方、曹操は相手陣営から裏切りをさせたり、袁紹の有利な場所で戦う事で油断を誘い、絶妙な場所やタイミング、戦略で勝利を収めます。
曹操の状況分析がしっかり出来、勝てる戦場の選びが出来ていたのだと思います。
現代でも、大手企業が何かの産業から撤退する事や、個人でも勉強が出来ない子がスポーツに特化して、プロ選手にと言う事があると思います。
大切なのは、如何に情報分析をしっかりして、決断を下せるかだと感じます。
最後に
最後まで読んで頂きまして、ありがとうございます。
三国志の魅力が、また一つ増えたら良かったと思います。
みなさんも是非、『実践版 三国志』読んでみてください。
この本をお手にとる参考となればと思います。
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